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暗号化されたチャットメッセージとシールドのイラスト

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Metaが「Labyrinth 1.1」を発表——Messengerの暗号化バックアップを送信時点で確保する新方式

Metaは2026年5月11日、Messengerの暗号化バックアップを支えるプロトコル「Labyrinth」のバージョン1.1をエンジニアリングブログで公開しました。これまで端末がオンラインに戻ったタイミングで行っていたバックアップを、メッセージ送信と同時に確保できるよう拡張したと案内しています。

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Metaは2026年5月11日、Messengerのエンドツーエンド暗号化(E2EE)バックアップを支えるプロトコル「Labyrinth」のバージョン1.1を、エンジニアリングブログで発表しました。Meta Engineering公式ブログによると、新バージョンでは送信した瞬間にメッセージを暗号化バックアップに反映できるサブプロトコルを導入し、端末紛失や機種変更が起きてもメッセージ履歴が安全に守られる構成になったとされています。

暗号化メッセージのバックアップを表すイラスト

画像引用元: Meta Engineering

Labyrinthが解決しようとする課題

Labyrinthは、WhatsAppやMessengerのE2EE通信を「履歴」の領域まで広げるためのプロトコルです。E2EE自体は送信中のメッセージを保護しますが、端末の故障や機種変更が起きるとローカルに保存していたメッセージ履歴が失われやすいという課題があります。Labyrinthはこの履歴を、Meta側でも読み取れない形でクラウドに保管するための仕組みです。

2023年に最初に公開された初期バージョンでは、端末がオンラインに戻ったタイミングでバックアップが行われる方式でした。Meta Engineering公式ブログでは「初期版では端末がオンラインに戻る必要があった」と説明されており、長期間オフラインだった場合や、端末を失った直後のメッセージは復元できない可能性が残っていました。

1.1で導入された「送信時点でのバックアップ」

新しいLabyrinth 1.1では、メッセージを送信する時点で暗号化済みのコピーがバックアップシステムへ直接届く仕組みが追加されました。Meta Engineering公式ブログでは、この挙動を「鍵のかかった箱に封のされた手紙を投函するようなもの」と表現しています。受信者だけが復号できる封筒ごと送るイメージで、端末が再接続するのを待たずに履歴が守られるようになります。

これによって、紛失直後・破損直後のメッセージや、新しい端末への移行中に届いたメッセージも、暗号化バックアップに残せるようになります。MetaやMessengerの運営側はメッセージの中身を読めない、という設計はそのまま維持されたまま、信頼性だけが上がる形です。

「Metaも読めない」という設計の意味

Labyrinthの大きな特徴は、バックアップ側のサーバーを運用するMeta自身も平文を読めない点にあります。送信者と受信者がそれぞれ持つ鍵によって暗号化と復号が行われ、サーバー側はあくまで暗号化されたデータとそれを取り出すための補助情報を保管するだけです。

E2EEのバックアップに関しては、AppleのAdvanced Data ProtectionやGoogleのメッセージバックアップなど、各社が独自のアプローチで実装してきました。Metaは2023年以降、独自プロトコルLabyrinthを起点に「履歴も含めて読めないバックアップ」を整備してきた経緯があり、今回の1.1はその信頼性と利便性を高めるアップデートとして位置づけられます。

ユーザー視点での変化

エンドユーザー視点で見た場合、Labyrinth 1.1の効果は次のような場面で表れます。

  • 端末を紛失・故障してから新しい端末でメッセージ履歴を復元するとき、より直近のメッセージまで残っている可能性が高まる
  • 機種変更時に旧端末から新端末へ手作業で履歴を移す必要が減る
  • 長期間オフラインだった期間に受け取ったメッセージも、暗号化バックアップに取り込まれている可能性が高まる

Meta Engineering公式ブログによると、Labyrinth 1.1はMessengerに対して順次展開されていく予定です。WhatsAppへの展開可否やタイミングは今回の記事では明示されていません。詳細な暗号方式や、ハードウェアセキュリティモジュール(HSM)の利用などの内部実装については、Metaが公開しているホワイトペーパーに譲られています。

メッセージングセキュリティを巡る業界動向との接続

Labyrinth 1.1の発表は、E2EE全般を巡る規制・技術の動きと切り離して考えにくいテーマでもあります。各国の規制当局が暗号化メッセージへのアクセスを求める議論を続ける中で、Metaは「読み取れない設計」を維持したまま、信頼性とユーザビリティを高める方向にプロトコルを進化させていることになります。

開発者目線では、Labyrinthのようなクライアント側で完結する暗号化バックアップが「実用上問題ないレベル」に近づきつつあること自体が興味深い動きです。同種の仕組みは、企業向けのコラボレーションツールや医療・金融など、データ機密性が高い領域でも参考になる可能性があり、今後のホワイトペーパー詳細が業界全体での議論の材料となりそうです。