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NVIDIA、フランスの4スタートアップへ新規投資——欧州全体で約1兆円規模に

NVIDIAがフランスのDoctolib、Entalpic、Genesis AI、Pigmentへの新規投資を発表しました。欧州全体ではすでに約1兆円規模を技術エコシステムに投じており、医療・素材開発・ロボティクス・業務計画の各分野でエージェント活用が広がっています。

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NVIDIAは公式ブログで、フランスのスタートアップ4社への新規投資計画を発表しました。欧州全体ではすでに約100億ドル(日本円で約1兆5000億円規模)を技術エコシステムに投じており、今回の発表はその一環です。医療、素材科学、ロボティクス、業務計画といった幅広い分野で、エージェント型AIの実運用が進んでいる様子が紹介されています。

新規投資先の4社

今回新たに投資計画が発表されたのは、Doctolib、Entalpic、Genesis AI、Pigmentの4社です。Doctolibは医療従事者の負担を軽減するエージェントを開発する欧州のヘルステック企業で、患者向けのデジタルヘルスコンパニオンも手がけています。パリ拠点のEntalpicは、半導体製造や次世代電子部品向けの表面・界面技術を中心に、原子レベルでの先端材料開発を加速させるスタートアップです。Genesis AIは基盤モデルやデータ収集基盤、シミュレーション環境、ロボット実機までを垂直統合する汎用ロボティクス企業、Pigmentは財務・営業・人員計画を横断して意思決定を支援する業務計画プラットフォームを提供しています。NVIDIAはこれまでにもAlice&Bob、Gradium、Scintil Photonicsといったフランス企業に投資してきた実績があります。

欧州全体で約1兆円規模のコミットメント

NVIDIAによると、2025年2月のAIアクションサミットや、2025年・2026年のChoose Franceサミットを通じて、フランス国内での大規模な計算基盤への投資が積み上がってきました。フランスのBullは、2028年に向けてNVIDIA Vera Rubin Ultra NVL72システムの欧州生産を拡大する計画で、トレイの製造を欧州で行い、ラック組み立てはアンジェ工場(10月2日に稼働開始)で実施するとしています。また、50基編成で総額10億ドル規模の衛星コンステレーションの1号機「Altair-1」も今月打ち上げに成功しました。Loft Orbitalが統合し、アブダビのOrbitworksが製造したこの衛星には、Mistralのモデルを実行するNVIDIA Jetson AGX Orinが搭載され、軌道上でのリアルタイム地球観測に使われています。

暗いトーンの会場で、黒いジャケット姿の男性がマイクを手に大勢の聴衆へ向けて語りかけている様子。背景には柱の並ぶ中庭風の空間とNVIDIAのロゴが見える

画像引用元: NVIDIA Blog

主権AIとオープンモデルの広がり

公共性やデータ主権が求められる領域では、NVIDIAのオープンモデル「Nemotron」の採用が進んでいます。LINAGORAとDocaposteはフランス政府の調達枠組みであるCANUTを獲得し、Nemotronをベースにした「Twake.ai」が2500以上の公的機関向けの公式な主権デジタルワークプレースとして採用されました。金融分野でも、SBSが銀行向けにガバナンスの効いた生成AI・エージェントサービスを自社環境内で展開できる主権プラットフォームをNVIDIAと共同で立ち上げています。先週にはMistralがプライベートプレビューとして新モデル「Mistral Large 4」を発表しており、サイバー防衛や製造、金融、マルチモーダルタスクでオープンウェイトとして最先端の性能を打ち出しました。

現場で動き出したエージェントたち

小売や公共サービス、通信、科学研究の各分野でも応用が具体化しています。L’Oréalは研究ワークフローにNVIDIA ALCHEMIを組み込み、処方開発の探索をシリコン上で行うことで、従来手法に比べ発見プロセスを最大100倍高速化できるとしています。Miraklは7000万点以上の商品をNVIDIA GPU上のファインチューニング済みモデルで処理し、出品者のカタログ登録を2時間以内に短縮しました。コート・ドール県では、ThinkDeepとAkilaがNVIDIA CosmosやNemotron、Omniverseのライブラリを使ったデジタルツインエージェントを構築し、約5800kmの道路・建物を管理しながら運用コストを10%削減、将来的には30%削減を目指しています。通信分野ではBouygues TelecomとPrisme.aiが「AI Studio V2」を立ち上げ、全従業員が安全な管理環境の中で自分専用のエージェントを構築できるようにしました。量子分野でもAlice&BobがNVQLinkプラットフォームを超伝導キャットキュービットに統合するなど、GPUによる量子誤り訂正の効率化が進んでいます。

日本から見たフランスの動き

日本国内ではクラウドやAIインフラの「データ主権」はまだ議論の途上にありますが、フランスの事例は、政府調達要件と商用クラウド・オープンモデルを組み合わせた現実解のひとつといえます。医療や金融、インフラ管理といった規制の強い領域で、エージェント型AIをどう段階的に実運用へ落とし込むかという点は、国内の自治体システムやヘルステック企業にとっても参考になりそうです。NVIDIA創業者兼CEOのジェンスン・フアン氏は、10月21日にベルリンで開催される「GTC Berlin」の基調講演でも、欧州における取り組みについてさらに語る予定です。