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NVIDIA公式が紹介——乳がん診療の3つの壁をAIで崩すInceptionスタートアップ群
NVIDIAが、Inceptionプログラム採択スタートアップによる乳がん診療向けAI技術をまとめて紹介しました。検診の高速化、マンモグラフィの見落とし削減、治療効果の予測まで、診療の各段階をNVIDIA GPUが支える現場を整理します。
NVIDIAは、スタートアップ支援プログラム「NVIDIA Inception」に参加する複数の企業が、乳がん診療の各段階にAIを適用している取り組みをまとめて紹介しました。米国では40歳以上の女性の過半数が推奨される年次検診を受けておらず、放射線科医の不足でマンモグラフィの読影にも遅れが生じ、診断後の治療方針を左右する遺伝子検査の結果が出るまでに数週間かかることもあるといいます。紹介されたスタートアップは、検診のアクセス改善からがんの見落とし削減、治療効果の予測まで、診療のボトルネックをそれぞれ別の切り口で解消しようとしています。
自動化された3D超音波で検診時間を45分から2分に
検診会場に足を運ぶ時間を確保しづらいという物理的な障壁に取り組むのが、Inception参加企業のiSono Healthです。FDA承認済みのウェアラブル自動3D定量超音波プラットフォーム「ATUSA」は、片胸あたり約2分で標準化された乳房全体のボリュームデータを取得できます。従来の手持ち型ハンドヘルド超音波では最大45分かかっていた検査が、大幅に短縮される計算です。150万フレームを超える乳房超音波画像で学習したAIが画像取得そのものを自動化しており、NVIDIAのGPUアクセラレーションとオープンソースの医療画像技術を活用することで、手持ち型の2D超音波と比べて28%感度が高いと同社は説明しています。ATUSAはすでにカリフォルニア・テキサス・ジョージア・テネシー・ワシントンD.C.の提携クリニックで商用提供されており、3,200人規模の多施設臨床研究も進行中です。
マンモグラフィの「干し草の中から針を探す」作業を支援
もう1社のInception参加企業Whiterabbit.aiは、FDA承認済みの「WRDensity」ソフトウェアでマンモグラフィから乳房濃度を自動評価しており、すでに数十万人規模の患者ケアで使われています。同社はさらに、長期的な乳がん発症リスクを推定する臨床判断支援ソフト「WRRisk」も開発済みで、陰性のマンモグラフィの読影を自動化しながら、より多くのがんを検出できる次世代AIの研究も進めています。「放射線科医は日々、200件のマンモグラフィの中からおよそ1件のがんを見つけるという、干し草の中から針を探すような作業に直面しています」とWhiterabbit.aiの共同創業者でCTOのJason Su氏はコメントしています。同社のAIモデルは、ワシントン大学セントルイス校に設置されたNVIDIA GPUクラスタとクラウド上の追加GPUで学習されています。
画像引用元: NVIDIA Blog
病理スライドから治療効果と再発リスクを予測
診断後に待っているのは「どの治療が効くのか」という問いです。これまでの予測は精度が限られ、組織生検の結果を2〜4週間待つ必要もありました。Ataraxis AIは、すでに診療の一部として行われている病理スライドなどのデジタルデータを使い、患者の治療反応や転帰を予測する臨床インテリジェンスを構築しています。一方のモデルは手術前の化学療法で腫瘍が十分に縮小するかどうかを予測し、もう一方は術後の5年再発リスクと化学療法の効果を推定します。いずれのモデルも10を超える医療機関と複数の臨床試験で検証済みで、すでに臨床現場で実際に使われています。「がんの治療方針を決めるために今日使われているツールの多くは、15年前に一度学習されたきり更新されていません。私たちのモデルは臨床試験データを取得するたびに強くなります」と、Ataraxis AIのJoseph Cappadona氏(technical staff)は述べています。
3Dモデルで腫瘍を可視化し手術方針を支援
SimBioSysは、乳房の腫瘍や血管などの軟部組織を正確な3Dモデルとして再構成するAI技術を開発し、手術や治療方針の判断に役立つ知見を提供しています。乳房MRIの3Dボリュームデータ、腫瘍の病理所見、臨床データをもとに乳がんの再発リスクを推定するツールも構築済みです。10月1日にアリゾナ州フェニックスで開催された乳がん啓発月間のパネルに登壇したSimBioSysのCEO、Stacey Stevens氏は「画像検査・病理結果・該当する場合は遺伝子検査など、マルチモーダルなデータを集約し、AIでひとつにまとめるプラットフォームを構築している」と説明し、「そうすることで、個々のデータだけでは得られなかった新しい知見が生まれる」と話しています。同社は学習・検証データにNVIDIA MONAIを、画像処理にはcuBLASなどのNVIDIA CUDA-Xライブラリを使い、クラウド上のNVIDIA GPUで稼働させています。
なお、記事内で紹介されている一部の技術は研究段階のものであり、米国FDAによる商用利用の承認を得ていない点にも注意が必要です。検診からマンモグラフィ読影、治療効果予測、手術計画まで、乳がん診療の各段階でAIが連続的に組み込まれつつある様子がうかがえる内容になっています。
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