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NVIDIA、通信事業者のAI戦略は「オープンモデル」軸へ——SoftBankやAT&Tも採用
NVIDIAが、通信事業者の89%がオープンモデルを自社のAI戦略上重要だと回答したという調査結果を公表しました。SoftBankやAT&T、インドネシアのIndosat Ooredoo Hutchisonの活用事例も紹介されています。
NVIDIAは公式ブログで、通信事業者(テレコム)各社のAI戦略が「オープンモデル」を軸にしたものへとシフトしつつあると紹介しました。自社調査「State of AI in Telecommunications」によると、回答した通信事業者の89%が、オープンソースのモデルやソフトウェアを自社のAI戦略上重要だと回答したといいます。単なるコスト削減にとどまらない理由があると、NVIDIAは説明しています。
オープンモデルが選ばれる5つの理由
NVIDIAはブログの中で、通信事業者がオープンモデルを重視する理由を5点に整理しています。具体的には、最先端クラスの性能を低コストで利用できる点、ネットワークや顧客データを使って通信業界特有のタスクに合わせてファインチューニングできる点、モデルの挙動を評価・統制しやすく規制対応や社内ポリシーに沿わせやすい「信頼できるAI」である点、パブリッククラウドからプライベート基盤、エッジ環境まで柔軟かつ安全に展開できる点、そして自社でホスティング・調整したモデルを企業や政府向けに地域特化のAIサービスとして提供できる点が挙げられています。独立機関によるベンチマーク「Artificial Analysis Intelligence Index v4.3.2」でも、オープンモデルが推論やコーディング、科学技術、エージェント的タスクで競争力を高めているとされています。
Nemotronファミリーと通信特化モデル
NVIDIAは、推論性能とエージェント向けワークフローに最適化したオープンモデル群「NVIDIA Nemotron」を提供しています。今回のブログでは、このNemotronをベースに「AdaptKey」がオープンな通信業界データセットでファインチューニングした300億パラメータの「Nemotron 3 Large Telco Model(LTM)」が紹介されました。通信業界特有の用語を理解し、ネットワーク設定や顧客対応のトリアージといった業務フローを推論できるベースラインになるとしています。さらにNVIDIAは、事業者が自社の運用データでこのモデルを調整できるよう、NVIDIA NeMoを使ったファインチューニングの手順一式も公開しています。

画像引用元: NVIDIA Blog
SoftBankやAT&Tの採用事例
SoftBankのRajeev Koodli氏(プリンシパルフェロー)は、「オープンモデルのおかげで、世界的な基盤モデルの急速な進歩を取り込みながら、長年蓄積してきたネットワークの知見や運用ノウハウを組み合わせられる」とコメントし、NVIDIA Nemotronなどを活用して独自の「SoftBank Large Telecom Model」を継続的に強化していると述べています。米AT&Tの最高データ・AI責任者Andy Markus氏も、「AT&Tでは、単一のモデルを選ぶことではなく、あらゆるワークロードを性能・コスト・統制の最適な組み合わせにマッチさせることが未来のAIだと考えている」とし、NVIDIAとともにそのモデル選択戦略を本番環境で実現できていると語っています。
インドネシアでの「自国語AI」という視点
インドネシア最大級の通信事業者の一つであるIndosat Ooredoo Hutchisonは、オープンソースモデル群「Sahabat-AI」を通じて、自国の言語や文化を反映したAIの構築を進めています。同社の最高データ・AI責任者Chirag Sukhadia氏は、「インドネシアのような国にとって、オープンモデルの価値は強力なAIへのアクセスにとどまらない。その知性を自分たちの言語、文化、データ、実際のニーズに適応させることにある」と述べています。通信インフラを各国のAI戦略と整合させる動きが広がるなか、オープンモデルは地域ごとのローカライズを実現する土台として位置づけられつつあるようです。
日本の通信業界への示唆
SoftBankの事例からもわかる通り、オープンモデルを基盤にしながら自社の運用データで特化させていく手法は、日本の通信・インフラ企業にとっても現実的な選択肢になり得ます。クラウド・オンプレミス・エッジを横断した柔軟な展開や、自国語・自社業務に合わせた調整のしやすさは、海外ベンダーの単一モデルに依存するリスクを下げる手段としても注目されそうです。
Why Telecom Operators Are Building Their AI Strategy on Open Models
Telecom operators are increasingly building their AI strategies on open models — and the reasons go beyond mere cost.