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OpenAI、未解決の数学問題100件超をGitHubで一挙公開へ——数学者たちは「論文を飛ばす姿勢」に反発

OpenAIが、8月の内部モデルで解いたとする100件超の未解決数学問題をGitHub上で公開する計画だとWIREDが報じました。論文を介さないブログ・SNSでの発表姿勢や功績の帰属をめぐり、数学者コミュニティから強い反発の声が上がっています。

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OpenAIが、社内モデルが解いたとする100件超の未解決数学問題をGitHub上で一挙に公開する計画だと、WIREDが関係者の話として報じました。今年に入ってAIによる数学の証明が相次いで話題になる中、論文という検証プロセスを飛ばしてブログやSNSで成果を発表する姿勢をめぐり、数学者コミュニティから強い反発の声が上がっているといいます。

8月の非公開会合で示された「数百件を解いた」という示唆

WIREDの報道によると、OpenAIは8月に約40人の数学者を招き、AIが人間の能力を上回った場合にどう対応すべきかを議論する非公開会合を開きました。出席者の証言では、同社は自社の強力なモデルが数百件におよぶ長年未解決の数学問題を解いたとほのめかしつつ、結果を一度に公開することはないと参加者に約束したとされています。この点についてOpenAIの広報担当Lindsay McCallum氏は「そうした約束をした認識はない」とコメントしています。出席していたノースウェスタン大学の数学者Bryna Kra氏は、この会合を「期待と不安が入り混じった」もので、前向きな第一歩だったと振り返っています。出席者たちは、同じ月の早い時期に10件の問題をブログやツイートだけで発表したときのようなやり方ではなく、数学者が内容を吟味できるよう論文の形で公表してほしいと要望したとKra氏は説明していますが、「その要望は結局無視されたようだ」とも述べています。

「火曜日にGitHubへ一括公開」という計画

関係者がWIREDに語ったところによると、OpenAIは8月の会合で言及した数百件の成果のうち、まず100件超を火曜日(現地時間)にGitHub上で公開する計画だといいます。McCallum氏はこの件について、「8月28日に新しい社内モデルの学習を開始した。このモデルはミレニアム懸賞問題の一つであるナビエ・ストークス方程式の問題を解決したことに加え、数学のほぼすべての分野にわたる100件超の長年未解決の問題を解いている」とコメントしました。公開にあたっては、米プリンストン高等研究所内の「数学とAIに関する諮問グループ」の助言を踏まえて慎重に進めているとし、具体的な公開時期は「未定」としています。

暗い紫の背景に、左側は青いΣ記号を囲む円、右側は顔のような表情を持つオレンジの円があり、両者を点線の矢印でつなぐ抽象的なイラスト

きっかけはミレニアム懸賞問題をめぐる功績争い

数学者たちの不信感が決定的になったのは9月の出来事だとWIREDは伝えています。OpenAIは、他の研究者が解決に近づいているという「噂」を耳にしたことをきっかけに、数千体のエージェントを投入して有名なミレニアム懸賞問題(賞金100万ドル)の解決に取り組みました。ニューヨーク大学の数学者Tristan Buckmaster氏は、自身がAnthropicの研究者Levent Alpöge氏と個人的に進めていた(未発表の)共同研究の一部を、OpenAIに「出し抜かれた」と主張しています。2人は研究にOpenAIのツールを活用していましたが、成果はまだ公表していなかったといいます。Buckmaster氏によれば、功績の帰属をめぐる交渉の中で、OpenAIの研究者Sébastien Bubeck氏が論文の著者からAlpöge氏を外すよう示唆したとされています(Bubeck氏はこれを否定する公式声明を過去に出しています)。Buckmaster氏はこの提案を拒否したといいます。

WIREDが確認した会合メモによれば、Bubeck氏はこのやり取りの中でAnthropicの動向への懸念を強い言葉で示したとされ、Buckmaster氏がこの一件をメディアに伝えると述べた際には、キャリアに悪影響が及びかねない旨をほのめかす発言もあったと記録されています。ニューヨーク大学客員教授のNestor Guillen氏はWIREDに対し、こうした一連の出来事について数学者コミュニティの中に「ヤクザまがいの振る舞いだという受け止め」が広がっていると語りました。McCallum氏は「そのような特徴づけには同意しない」としています。Guillen氏はさらに、同僚たちの間で広がっているのはAIそのものへの不安ではなく、AI企業への苛立ちであり、その根底には力が一部の企業に集中していくことへの懸念があると説明しています。

「ツイートで数学をするな」——求められる検証可能な発表プロセス

OpenAIは9月中旬、成果の評価・伝達方法や学術的基準の順守、研究者を支援するツール開発について助言を得るための諮問グループを立ち上げました。しかしKra氏をはじめとする数学者たちは、目立った改善は見られないと指摘しています。彼らが特に問題視しているのは、OpenAIやAnthropicが成果を査読付き論文ではなくブログ記事で発表し続けていることです。この方式では第三者による検証が難しく、先行研究への言及が漏れがちになるといいます。小出しの発表はAI企業に限った話ではなく、Alpöge氏自身もサッカーワールドカップ決勝の直後、87年前の未解決予想を反証したとツイートで発表したことがありました。Kra氏は「ツイートによる数学、プレスリリースによる数学は、彼らが学習対象としてきた豊かな生態系を育てるやり方ではない」と述べています。こうした状況を受けて、AI生成の証明を集約するリポジトリ「Hexagon」や、機械検証済みの数学的成果を登録する「Palomar」といった新しいツールも今年立ち上げられましたが、Kra氏によればOpenAIはこれらの利用を勧められても「行動を変えていない」といいます。4,000人超の数学者が賛同し、AI企業に数学者コミュニティの基準を満たすよう求める「ライデン宣言」の精神とも、同社の対応は噛み合っていないとKra氏は指摘しています。

検証プロセスをどう両立させるかが今後の焦点

AIによる数学の証明が急増する中で、スピードを優先する企業側と、検証可能性を重視する研究者コミュニティとの間の緊張は、今回の一括公開でさらに表面化しそうです。実際に100件超の問題がGitHub上でどのような形式で公開されるのか、査読や検証の仕組みが伴うのかは、今後の数学研究のエコシステムがAIとどう共存していくかを占ううえで注目すべきポイントになります。