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アイデンティティの鍵を守る盾が、押し寄せる攻撃の矢を受け止める概念イラスト

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AIが加速するサイバー攻撃にどう備えるか——Microsoftが説く「アイデンティティ中心の防御」

Microsoftが、AIによって高速化・大規模化するサイバー攻撃の実態と、アイデンティティを軸にした防御の考え方を解説。攻撃チェーン全体の加速に対し、リアルタイムのリスクシグナルでアクセス判断を行う統合防御を提唱します。

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Microsoftは2026年6月17日、Microsoft Entraブログで、AIによって高速化・大規模化するサイバー攻撃の実態と、それに備えるための「アイデンティティを軸にした防御」の考え方を示しました。攻撃者がAIを使って攻撃チェーン全体を加速させる中で、防御側も検知と対応の速度・精度を引き上げる必要があるという指摘です。

AIが攻撃チェーン全体を加速させる

Microsoftによれば、攻撃者はAIを使うことで、攻撃の各段階をこれまでより速く進められるようになっています。ソーシャルエンジニアリングを大規模かつ個別化して仕掛け、偵察を自動化し、漏洩した資格情報を分析し、権限を持つユーザーを特定し、露出したシステムを探り、戦術をリアルタイムに調整する——こうした一連の動きが、AIの支援で一気に効率化されます。

かつては人手に頼っていた攻撃が、いまでは高い速度・規模・自律性をもって展開されるようになりました。攻撃が速くなるほど、防御側に求められるのも、検知と対応のスピードと正確さです。時間をかけて分析している間に被害が広がる、という構図が現実味を帯びています。

押し寄せるAI加速型の攻撃を、アイデンティティを守る盾が受け止め、リスクスコアとシグナルがアクセス判断につながる防御の概念図

画像引用元: Microsoft Entra Blog

なぜアイデンティティが狙われるのか

Microsoftは、アイデンティティが依然として最も一般的な侵入口の1つだと指摘します。あらゆるアカウント、管理者、ワークロード、アプリケーション、そして人ではないアイデンティティやAIエージェントまで——適切に保護されていなければ、いずれも機微なデータや重要システムへの経路になり得ます。

攻撃者の側から見れば、必要なのは「適切なアクセス権を持つ適切なアイデンティティを、適切なタイミングで1つ奪うこと」だけです。守る側は無数のアイデンティティすべてを守らなければならないのに対し、攻める側は一点突破でよい。この非対称性が、アイデンティティが繰り返し狙われる理由になっています。AIエージェントの普及で守るべきアイデンティティの種類が増えていることも、この課題を一段と重くしています。

防御側の考え方:可視性と統合

ではどう備えるか。Microsoftが挙げるのは、包括的な可視性と、統合されたソリューションです。アイデンティティとセキュリティのチームが、脅威の予防・検知・対応を一貫して行えるよう、見通しよく整える必要があるとしています。

ここで鍵になるのが、アイデンティティを単なる「制御ポイント」ではなく、予防・検知・対応を1つにつなぐ「適応的な防御システム」として捉える発想です。Microsoftは、自社をアイデンティティプロバイダーであると同時にポリシー適用の層としても位置づけ、Microsoft EntraMicrosoft Defenderを連携させて、統合されたアイデンティティセキュリティ体験を提供すると説明しています。

リアルタイムのリスクシグナルでアクセスを判断

統合防御の具体像として示されているのが、リアルタイムのリスクシグナルをアクセス判断に即座に反映させる仕組みです。攻撃が高速化する以上、リスクの兆候をつかんでから対応するまでの間隔を、できるだけゼロに近づける必要があります。

Microsoftは今年のRSAカンファレンスで、攻撃チェーン全体から得た知見を1つにまとめる「統合アイデンティティリスクスコア」を披露しました。これは、広い文脈から読み取ったリスクを、その場のアクセス可否の判断へ変換するための指標です。個々のシグナルを単独で見るのではなく、攻撃の流れ全体を踏まえてスコア化し、リアルタイムにアクセス制御へ結びつける考え方が示されています。

組織のセキュリティ担当者への影響

今回のMicrosoftの整理が示すのは、AIが攻撃側の生産性を押し上げる時代には、防御もまた「速度」と「統合」を前提に組み直す必要がある、ということです。個別の対策を積み上げるだけでなく、アイデンティティを中心に予防・検知・対応をつなぎ、リスクシグナルを即座にアクセス判断へ反映できる体制が問われます。

自社の環境を見直す際は、人のアカウントだけでなく、ワークロードやAIエージェントを含めた「すべてのアイデンティティ」が保護対象になっている点を改めて確認しておくとよいでしょう。アイデンティティの可視化と、リスクに応じたアクセス制御をどこまで自動化できているかが、AI時代の防御力を左右する要になりそうです。