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NASA、落下寸前の観測衛星Swiftの救出へ——Katalystの宇宙機「Link」打ち上げ、3本アームで軌道を240km引き上げ
2004年打ち上げのSwift観測衛星が太陽嵐の影響で軌道低下し、年内にも大気圏落下の恐れがあるとThe Vergeが報道。NASAの依頼を受けたKatalyst Space Technologiesが救出用宇宙機Linkを打ち上げ、軌道の引き上げに挑みます。
NASAの観測衛星Swiftが大気圏への落下危機に直面しており、その救出を担う宇宙機「Link」が打ち上げられたと、The Vergeが2026年7月4日に報じました。手がけるのはKatalyst Space Technologiesです。推進装置を持たない20年選手の衛星を、別の宇宙機がつかまえて軌道を引き上げるという、宇宙インフラの保守サービスが現実になりつつあることを示すミッションです。
太陽嵐で軌道が低下、年内にも落下の恐れ
Swiftは2004年に打ち上げられた観測衛星で、正式名称はNeil Gehrels Swift Observatoryといいます。主な任務はガンマ線バーストの観測で、宇宙初期の理解に欠かせない成果を上げてきました。
そのSwiftがいま、危機にあります。近年の太陽嵐の影響で軌道が下がり続けており、早ければ年内にも大気圏に突入して燃え尽きる恐れがあるとのことです。Swift自身は推進システムを持たないため、自力で軌道を戻すことができません。現在の高度は224マイル、およそ360kmまで下がっています。

The Verge報道の内容をもとに作成した整理図
3本アームの宇宙機「Link」が捕まえて押し上げる
救出を託されたのが、Katalyst Space Technologiesの宇宙機Linkです。金曜に打ち上げられたLinkは、Swiftに接近してこれを捕捉し、軌道をおよそ150マイル、240kmほど引き上げることを目指します。
Linkは3本のアームを備えた宇宙機で、掴まれることを想定して設計されていない衛星を相手に、軌道上でのランデブーと捕獲、そして押し上げまでをこなす必要があります。ドッキングポートを持つ宇宙ステーションへの接続とはわけが違う、繊細なミッションです。
費用3,000万ドル・準備9か月の突貫ミッション
このミッションで特筆されるのは、準備のスピードです。10月を過ぎるとSwiftの高度は救出不可能なレベルまで下がってしまうため、NASAはKatalystに急ぎの対応を求めました。結果として、費用3,000万ドル、期間わずか9か月でミッションが組み上げられたとのことです。
建造に5億ドルを投じたSwiftを、その16分の1ほどの費用で延命できるなら、経済合理性は十分にあります。衛星を使い捨てにせず、軌道上でのサービスで寿命を延ばすという選択肢が、コスト面でも現実味を帯びてきたことを示す好例です。
「軌道上サービス」市場の試金石に
今回のミッションは、故障や燃料切れ、軌道低下に直面した衛星を軌道上で助ける「軌道上サービス」という新市場の試金石でもあります。低軌道には通信や観測のための衛星が急増しており、寿命延長や軌道修正、デブリ化の防止といったニーズは今後確実に伸びていきます。
推進装置のない衛星を後付けの宇宙機で押し上げるという今回の挑戦が成功すれば、既存衛星の延命という選択肢が広く検証されたことになります。Swiftが観測を続けられるかどうかは、ガンマ線天文学だけでなく、宇宙ビジネスの次の10年にとっても注目のポイントです。
NASA launched an emergency mission to stop the Swift Observatory from crashing to Earth
The mission came together in just nine months.