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サーバーラックの上にエージェントのネットワークが広がるデータセンターの概念イラスト

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NVIDIAとHPE、AIファクトリーをエージェント時代へ拡張——Vera CPUと運用ガバナンス基盤を投入

NVIDIAとHPEが「HPE AI Factory with NVIDIA」を拡張。エージェント向けの新CPU「Vera」、運用統制を担うAgent Toolkit、全構成へのConfidential Computing適用で、実証から本番運用への移行を狙います。

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NVIDIAは2026年6月16日、ラスベガスで開催中のHPE Discoverに合わせて、HPEと共同で展開する「HPE AI Factory with NVIDIA」をエージェント時代に向けて拡張すると発表しました。新しいCPU「NVIDIA Vera」、エージェントの挙動を監視・統制する運用ツール群、そして全構成へのConfidential Computing適用が柱です。実証実験で止まりがちなエージェントAIを、企業の本番環境へ確実に届けることを狙った内容になっています。

「AIファクトリー」を本番運用前提でつくり直す

HPE AI Factory with NVIDIAは、計算・ネットワーク・ストレージ・ソフトウェアをあらかじめ束ねた、企業向けのフルスタックなAI基盤です。今回の拡張では、単発のモデル推論ではなく、複数のエージェントが連携してツールを呼び出し、データをリアルタイムに処理し続ける「エージェント型ワークロード」を前提に、ハードウェアと運用層の両方が見直されました。

NVIDIAは、エージェントAIが概念実証の段階を越え、実際の業務プロセスに組み込まれる局面に入ったと位置づけています。そのために必要なのは賢いモデルだけではなく、エージェントを安全に走らせ、監視し、統制できる土台だという考え方が、今回の発表全体を貫いています。

計算ラックがエージェントのメッシュへつながり、その先で挙動を統制するガバナンス層が守る、HPE AI Factoryの概念図

画像引用元: NVIDIA Blog

エージェント向けに設計された新CPU「Vera」

ハードウェア面の目玉が、新CPU「NVIDIA Vera」です。VeraはHPEの「ProLiant Compute DL394 Gen12」サーバーに搭載される形で2027年に提供される予定で、ツールのオーケストレーションやリアルタイムのデータ処理など、エージェント特有の負荷に合わせて設計されています。

エージェントが多数のツールやデータソースを行き来する処理では、GPUによる推論だけでなく、その周辺で発生する制御やデータの受け渡しが性能を左右します。Veraはこの部分を担い、大規模GPU構成である「NVIDIA Vera Rubin NVL72」と組み合わせることで、エージェントのワークフロー全体を滞りなく回すことを目指します。

挙動を監視するAgent Toolkitで運用を統制

もう一つの柱が、HPE Private Cloud AI向けに提供される「NVIDIA Agent Toolkit」です。推論を最適化するNemotronモデル、安全な実行環境を提供するOpenShellランタイム、そしてエージェントの挙動を監視してガバナンスポリシーを適用するNemoClawのブループリントがまとまっています。

企業がエージェントを本番投入するうえで最大の不安は、「想定外の動きをしないか」「権限や情報の扱いを統制できるか」という運用面にあります。Agent Toolkitは、エージェントが何にアクセスし、どう振る舞ったかを把握し、ポリシーに沿って制御するための仕組みを標準で備えることで、この不安に応えようとしています。

全構成にConfidential Computingを適用

セキュリティ面では、これまで一部にとどまっていたNVIDIA Confidential Computingを、HPE AI Factoryのすべてのソリューションに広げます。Confidential Computingは、モデルや機微なデータが処理されている最中も暗号化・隔離された状態で守る技術で、実行中のデータ保護を全構成で前提化する形になります。

あわせて、データ処理を担うBlueField DPUや、AIワークロード向けネットワークのSpectrum-X Ethernetも組み合わせ、計算・通信・セキュリティを一体で提供します。規制の厳しい業種や、自社データを外に出せない企業ほど、こうした「守りながら動かす」前提の基盤は導入の判断材料になりそうです。

企業のAI導入担当者への影響

今回の拡張が示すのは、エージェントAIの主戦場が「モデルの賢さ比べ」から「本番でどう安全に動かし続けるか」へ移りつつあるということです。Veraのような専用ハードから、挙動監視やConfidential Computingといった運用・セキュリティ層まで、エージェントを前提にスタックを組み直す動きが、大手ベンダーの連携として明確に出てきました。

社内でエージェント導入の検討を進めているチームにとっては、性能だけでなく、ガバナンスやデータ保護をどこまで標準機能として満たせるかが、基盤選定の評価軸になっていきます。Vera搭載サーバーの提供が2027年である点をふまえつつ、自社の本番要件と照らし合わせてロードマップを描いておく価値があります。